エンジェルケア~死後処置

続きになりますが、エンジェルケアとは、患者さんが亡くなった後の死後処置のことです。「エンジェルセット」というものが病院には用意されていて、病院によって様々でしょうが、白い着物、T字帯(ふんどしのようなもの)、紙おむつ、タオル、脱脂綿、割りばしやピンセット、絆創膏、化粧道具、カミソリ、新しいシーツなど死後に体を整える道具が入っています。
体をきれいに拭いて、排泄物が出てこないようにして、お化粧や髭剃り、爪切りなどをして身を整えるセットです。

まだ体が温かく柔らかいうちにそのケアをするのですが、看護師としては、正直、その時は現実感がないというか、目の前の仕事をこなすことに集中していますし、さっきまで生きていたその方が「亡くなった」という事実にまだピンと来ないような気持ちです。

でも、どこかで「楽になれたね…」と思ってしまう自分もいるのです。

ターミナルの方は、普段からやはり苦しそうでその姿をずっと看ているので、やっぱりどこかで「やっと苦しみから解放されたかな…」と思うような気持ちがあるのです。

患者さんの死をやっと実感するのは、空になったベッドを見たときです。

まだその辺にいるんじゃないかなという気持ちもなんとなくします。
不思議ですね。
そして、全く怖くはありません。
もしかしたら、まだ生と死の間みたいなものがあって、そこから私たちを見ているのかもしれません。

寂しく思うのは、少したって何気ないときにその人の日常の姿を思い出すときです。点滴台を吹いていたら、「○○さん、これ使っていたな」とか、オレンジジュースを見て「これよく飲んでいたな」とか。変なところに忘れ物があったりとか。そんな時、涙が出そうになります。

何度経験しても慣れないし慣れたくはないです。
そして、それぞれの方にそれぞれの死の姿があるんだな…と思うのです。

天使



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